2018年10月16日火曜日

ホライズン



最近はこうなんだか、生きているんだけど、”生きている”という実感に乏しい。
或いは身体のどこかが痛み出したりすることががあれば、その感覚は変わるのだろうけど。(フーコーがそんなこと書いてたな)
ただ、そういうこととはおそらく別に、なんだかよくわからず、旅をして他の国に行ったり、誰かと話しても、色々考えたり面白いことはたくさんあるけど、救命胴衣を着た石のように身体が世界に対して深く沈まない

それはこの時代のゆえなのか 多分そんなに関係なくて
たんに僕のsituationのことであるし 別に特殊なことでもないだろう

ただ繋がり過ぎては離れ過ぎてく僕らの世界のperspectiveを
全然把握できずに頭脳が機能せずのぼせているだけだ

夢だと知りながら見続ける夢はつまらない
悪い夢でも醒めたら楽しい

ホワイトノイズに包まれた頭脳と
シャワーの勢いに抵抗するように浮かび上がる腕 

水は柔らかいなあと思う

飛行機から見る雲の上の激烈なオレンジとコバルトは
いつも僕を感動させるのだけど いつも寂しくさせる

雲のホライズンに広がり続ける夢のような現象は
それで気が付いたらすぐに見えなくなって
雲の上では街も見えない
僕のわからない言語で話す人たちがたくさん暮らす街の光と煙が
雲の下で放たれていたりして いつまでも落ち着かない

生きている感じがほとんどない
語学の本を開いて咽喉を通してそれを真似してみる
早く喋られるとよくわからない
ゆっくり話されてもわからないことはわからない

でもあんまりそういうことを言ってはだめらしい
僕にはそれがよくわからない

もうどうでもいいんだと拗ねることもだめらしい
僕にはそれがよくわからない

別に、花が美しく咲いたらそれでいいんだなんて僕は思ってはいない

明日の方が今日より素晴らしい日になればいいと思っているし、
昨日という日がどんな明日よりも美しい日になればいいと思っている

ついつい言葉遊びのようになってしまうけど

とにかく

押し流れていく写真の残像や言葉の骨片を
どう掴むべきなのかわからない

このまま、あのホライズンに夜と一緒に消えてしまいたい
そう思わないこともない

だけど夜は僕をおいて一人で消えていく

ひどいなあと思う

ね。



もっとちゃんと話したいよ。







You love your rhythm and poetry
I love my sins
My 'international mystery'
I let you in











2018年8月16日木曜日

君と二人で


二人だけで話すのが好き。
もちろん、たくさんの人と話すのも楽しくて、楽しいけど、ときに、話の内容以外のいろんなことを気にしながら話さなきゃなので、いろいろ慌ててしまう

二人だけで話していると、目の前にいる人は少なくとも僕だけのものだし、僕は君だけのものだ 

目だって見れるし見てくれる
そっぽを向いても向かなくても、話が続けられる

お酒はたくさん飲むと酔いすぎてしまって何が何だか分からなくなるのでできたらコーヒーなんかを飲んで話したい 冷めないコーヒーカップが欲しいよ

目を見るのは勇気がいるけど、目を見て話したい

ここにいるのは君と僕だけ(たくさん周りに人はいるけど)

そんなのが好きだ

どんな話をしようと

嬉しくても 寂しくても

そんなのが好きだなあと思う


O seu balançado é mais que um poema
É a coisa mais linda que eu já vi passar

Ah, por que estou tão sozinho
Ah, por que tudo é tão triste
Ah, a beleza que existe
A beleza que não é só minha
Que também passa sozinha


彼女の歩く姿は一遍の詩のよう
ここを通り過ぎる誰よりも美しい

なぜ僕はひとりなんだろう
なぜこんなに悲しいんだろう
あの美しい子は僕のものじゃない
ただ通り過ぎていってしまうだけ




2018年7月2日月曜日

首元のナイフ


暑い日が続く。外に出ると、もう笑いがこみ上げる暑さだ。

でも、こんなにも暑い夏の暑さを来年の自分はほとんど忘れていて、また「暑い!」と言って暑さを思い出すのだろう。

いつもそうだ。もう何度も夏を経験しているのに、その匂いや光を、

「ああ、そうそうこんな感じだったな」という漠然とした感慨と共にまた新しく経験する。


僕たち、とは言わないけど、僕は、この身体に今まさに起きていることしか本当の意味では実感できないんだと改めて思う。全ては過ぎ去っていき、曖昧なリアリティが皮膚の表面を吹き去っていく。



"「人はなんで人を殺してはいけないんですか?」という人は自分の首にナイフを当てられながらもう一度同じ質問をすることを想像していない"という言葉が好きだ。



僕はあまり想像力がない人間なので、そういう突き刺さるような実感の中でしか想像ができないのかもしれない。


夏がまた始まりそして終わる


僕はこの暑さを忘れたくない忘れたくないよ


首元に突きつけられたナイフは少しの距離をとってわずかに震えている。