2020年7月21日火曜日

光の粒々


子供の頃からテレビや広告で自然とよく見ていた同い年の青年の俳優が自ら命を絶ってしまった。彼とは直接会ったこともないし、意識的に彼の出演作を見たりとかそういうことをしていたわけではなく でも すさまじく悲しく 印象的な彼の顔の表情が乱反射して僕は混乱して 絶句しながら 悲しみに明け暮れている

そういう人が人生には何人もいる 直接知っているわけではないのに  (あるいは直接会っても言語の壁などであまり話せないかもしれない)
知らずに自分の一部になっていて、その存在が生きることの一部に駆動している 
屋上に上がって漫然とビルの立ち並ぶ光の粒を眺めても 中途半端な役に立たない感傷ばかりが押し寄せて ただその一つ一つを覗こうとしても  のぞいたところで彼らの一人一人とわかりあえるわけじゃない ただ

その光の粒の中にあなたが生きていると感じれることと 
もういないことは  本当に全く違う その光の粒が無意味なものになってしまうぐらい違うと思う

大事なことは表面には見えない
夜を立ち並ぶ光の粒々は綺麗だけれど それだけでしかない

もっとあなたのことを知りたかった 

でも知れなかったとしても

あなたがこの抽象的な光の粒々を具象的に描きかえて 僕の心にあなたの形で輝いているから

今までの人生で出会ったほとんど全ての人が
すくなくとも 僕の心でいろいろな形とあり方で輝いている

彼のことをあまりに何も知らないので
これ以上何も言えない

ただ、僕の勝手にくりぬいた彼の姿の光が僕の一部を締め付けるように悲しくさせて止まらなく

止まったと感じたとしてもずっと疼いていく

誰か知っている人が亡くなったとき  息の止まるような悲しみはもしかしたらそのうち少し止まるかも知れないけれど
その深い悲しみは 僕が死んでしまうまで曖昧に、重く、僕を誰かを痛めつけていく

ご冥福を、

ご冥福を、、

いや、あなたの人生になんどもあっただろう輝いた一瞬、素晴らしい一瞬 出逢い 笑い
その瞬間があなたの中で消えさらずに今も幸せでいてほしい

僕はあなたに逢えてよかった 君は僕のことをまったく知らないけど

僕はあなたに逢えてよかった

そして今も幸せでいてほしい

押し寄せる光の粒があなたのためだけに泣いている
あなたの知らないところで あなたのために祈っている

誰かが白けるつまらないことを口走っても

きっと

かならず・・・